2021年 カリフォルニア・シトラス産地近況
テキサス州を襲った40年ぶりの強烈な寒波の影響とは裏腹にセントラルカリフォルニアのシトラス産地では温暖な気候が続いています。 今週も一昨日の気温は園地では25℃を超え長袖では汗ばむほどの気温まで上昇しTree Fruitsの花は 満開となっています。 人にとっては非常に過ごしやすい気候となっていますが、今年は年明けより気温の推移が高めで降雨も平年以下ですのでオレンジなどの食味に関しては非常に良好な状態が続いております。
今年になってからのセントラル地域(Visalia)の 気温の推移ですが非常に温暖に推移してきたことが窺われます。 この気温はVisalia Airportに設置された記 録装置のデーターですので実際の園地の気温はこれよりかなり高い気温になっているでしょう。 非常にマイルドで過ごしやすいのですが、農作物に関してはChilling Hourが不足しそうですのでTree FruitsやCherryなどの作柄が心配になりますし、シトラス類も今後の棚持ち 状態が心配になります。 実際先週から続いている温暖な気候がオレンジ、特にWashington系の商品に非常に大きなインパクトを 与えています。 弊社でも今週後半出荷予定のネーブルでパッキング時には非常に良好でもその後24時間でステイニングや表皮にヤケ状の問題が発生するということが発生し出荷をストップさせたものがあります。 フルーツ自体は糖度は高く硬さもあり、非常に良好な商品である事はパック時に確認しており、その後24時間での変化ということになります。
これは基本的に過熟が原因です。 硬さも食味も問題ないのですが、フルーツ事態はかなり熟度が上がった状態なのでしょう、ここ2週間の温暖な気候でこの様な症状が出てきました。 そろそろレイトへの切り替え時が近いというサインでしょう。 しかしカリフォルニアの大手の中ではまだレイト以外の60%を残しているところもあるようです。 国内をはじめ荷動き自体は悪くないのですが、少々理解に苦しむ状況に直面しています。 弊社もあと1〜2週のうちには全量レイトへのシフトをするつもりです。 一部では既にBarnfieldをパック ・出荷をしています。 熟度はやはり進み方が早い様で糖度や食味は良好です。 硬さはやはりLate系ですので安心の固さがあります。
さて、現状一番の懸案事項はロジスティクスです。 ご承知の様に現在米国西海岸の港湾施設の状況は今までに経験した事の無い様な状態となっています。 Long Beach港沖合では30隻以上の船舶がアンカ ーし荷役の順番待ちをしており、10日以上の待機は当たり前になってしまっています。 それを避けてOakland港に先に入る船もある 様ですが、こちらも状況は急変しており、20隻以上がサンフランシスコ湾で停泊しているという状況となっています。今週出荷予定の船舶もスケジュールが4日先送りされ、コンテナヤードもキャパ超えで搬入もストップ。 下手をするとコンテナが行き場をなくして電源プラグを探す争奪戦も発生しています。 もちろん経費もかかりますし最近は船社も自ら出帆を遅らせてもヤード内での滞留時間がフリータイムをすぎればチャージをしてきます。 場合によってはコンテナ1本700ドル以上になります。 4月1日からさらにこのチャージが上昇するという通達がでています。 3月よりコンテナレートは500ドル程度上昇し、4月1日にはさらなる値上げが行われます。 それでも現状の運賃は盗難アジアから北米へのドライコンテナ1本分より遥かに安いレートだそうです。 現在東南アジアより欧州へのコンテナは一部で1本USD 10,000 のレ ートも出ているそうで、アメリカにある空コンを費用をかけて東南アジアへ移送して使用した方が日本向けカーゴを集めて輸送するより費用対効果があるそうで、日本への航路が減少、廃止を検討する大きな理由になっているそうです。 それゆえ欧州系の船社は南米からも日本へのレーンを廃止する傾向が強くある理由となっているのが理解できるかと思います。 お客様のニーズにお応えできる様に弊社もこのコンテナスペースの確保に努めておりますが、日本側におけるお客様のご理解とご協力なしには安定的な供給を継続する事は不可能な状況となりつつあります。 ビジネスの計画立案に関してもこのロジスティクスの面から商品の多様化を図る必要が出てきそうです。
Long BeachおよびOakland における船舶待機 状況
San Francisco Bay from Bay Bridge